ご成約車両と点検で気付いた不具合

作業日誌

今年に入ってからも整備の依頼は忙しくしてたのですが、車両販売の方は新規は無く、昨年末の納車整備待ちがあったくらいでした。
そんな中、以前から探してくれと頼まれてた車両を仕入れました。

ZRX400です。
外装は前オーナーさんが全塗装してたようですが、塗りはキレイだったんで後はお客様が現車を見て気に入るかどうか?
一応、事前に写真は送ってたんですけど、やはり現物見ないと細かい所までわかりませんしね。

最近のバイク高騰もあって予算は少し超えてたのですが「予算超えても状態がそれに見合うならOK」との事でしたので、まぁ自分も見た感じ状態良いしエンジンも異音出てないし良いだろうと。

追加でモリワキのワンピースショートに替えたいとのことだったんですが、納期が3月中旬とのことだったので、いったん納車してマフラー入荷したら来店していただく事に。

そんな中、法定点検で受けた車両。

グラストラッカーなんですが、店内に入れようと押してる時に「ん?」と一瞬違和感が。

その場で前輪上げてチェックしても「んー。ん?」

どうせ点検項目で前輪外すしキチンと見るかとジャッキアップしてホイール外して再度チェック。

僅かながらステムに引っ掛かりが。

明らかに打痕ついてる感じのガタじゃないし、ステムナットの締め具合では消えてしまうレベルではあるけれど確実に引っかかりはあるし自然治癒するもんでもない。
というかステムの調整ナット明らかに緩い。規定トルクで締めたらもっと如実にガタ出そう?
ステムベアリングの打ち換えは地味に結構費用もかかるし、追加の部品発注で預かり期間もかかるので、お客様に相談したら直してくれとの事。

さっそくバラしていきますが、車種によってはアンダーブラケット側のベアリングレースを叩き出そうにもタガネ当てる場所が無いものもあります。

ま、メーカーの特殊工具でプーラー買えばいいんですが、特工高いですからね。無くてもできるモノは買いません。

タガネ当てる場所がないならサンダーで削って作ってしまえばいい。
そんな感じで古いレースも全部外し新品レース組んでいきます。

実は昨年末、似たような圧入作業でハンマー振って肘の関節を痛めた事があったんですが、そのときは「油圧プレス欲しいなー」なんて思いました。

機器や特殊工具は欲しいもん全部買ったらキリがないですし店の中に置く場所もなくなるので「無くても何とかなる機器や工具」は必要に応じて買い足せばいいかなとか思ってます。

アウターのレース圧入完了。

ベアリングとインナーのレース入れて組付けていきますが、ここでグリスをケチってはいけません。
とはいえ、はみ出すくらい塗りまくると埃を呼ぶし見栄えも悪い。

トップブリッジ側は念入りにグリスで塞ぎます。
まぁこの上からダストシールが嵌るわけですがベアリングが空気に触れなければ錆びる事もないわけですし。

使うグリスはリチウムグリスというか俗にいうマルチパーパスグリスですが「ベアリングのグリスはどのグリスが良いのか?」というテーマをツマミに一晩酒が飲める人もいるくらいで、自分も昔は色々試行錯誤してイモグリとモリブデン混ぜてみたりした事もありました。

一応組みあがったので軽く試乗してグリス馴染ませてから再度締め付け直して完成かな。
ステムナットも締め付けの規定トルクはあるんですが、実はこのステムナットの締め付けも締め過ぎるとベアリングの寿命が一気に縮みますし動きも悪くなります。

が…冒頭でちょっと触れましたが、軽度のガタだと逆に締め付け緩めるだけで誤魔化せてしまう。
誤魔化してるだけで直っちゃいないんですけどね。

なんかサイレンサーのマウント部のボルトも居なくなってたし、色々とアレな雰囲気の車両でしたが、個人売買の車両とかだと結構やっつけ満載の車両もありますからね。

定期点検は大事です。車検のない車両は特に。

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