ちょっと珍しい車両

作業日誌 日々の出来事

最近になって原付タイヤ交換の依頼が多いので10インチタイヤのバリエーションちょっと増やしました。
小さいタイヤラック置きたいけどスペースどうするか…

最近ちょっと…というかかなり珍しい車両の稼働レストア依頼を受けて入庫しました。

これ見てすぐ車名が出る人いますかね?

スズキのGV1400カバルケード。
自分も実物を見たのは初めてです。
V型4気筒1400㏄で、日本国内じゃ正規販売されてません。北米…というかアメリカでホンダのGL1500に対抗してスズキが作り出したけど3~4年で生産中止になったモデル…だった記憶がありますが、いかんせん自分の記憶もあまりアテにならないくらいの車両。

何個かショップに整備依頼のメールを送ったそうですが、返信あって前向きな返事が来たのが当店だけだったようです。

…まぁ正直、作業実績も無く3年不動でパーツは国内流通してないという時点で断るべきなのかもしれませんが、基本的な当店のコンセプトとして門前払いをしないスタイルではあるので「見るだけ見て診断してみて無理そうならゴメンナサイ」という事で搬入しました。

もちろん軽トラになんか積めないので、お客さんがレンタルでローダー手配して積み込み手伝いに自宅まで行き、翌日運び込んだんですけど。

とりあえずタンク錆びてるしキャブはオーバーホール前提でしょうが、まずはガソリン点滴でも良いのでエンジンがかかるかどうかだけは見たいですな。
パーツは海外で探す事になりそうですが、キャブのガスケット類は部品番号で検索したら他の国内モデルでも使ってそうなんで入りそうな気がします。

で…最近はキャブ関連の作業が多かったですな。

SR400にパワーフィルターつけてキャブセッティングしてたり。
まぁ、このへんは過去に何台かやってたんで大体のジェットの番手の目途はついてるし、そう何度もキャブをバラす事も無く3回目くらいでメインジェット、スロー、ジェットニードルのクリップ段数もバッチリ決まりました。


そして問題だったのが先日記事にしたTW125(200エンジン)です。

スカチューン希望でカスタムすることになったんですが、個人的にはバッテリーレスや小型の4B-5バッテリーなどへの換装は奨励しておらず、エアクリーナーBOX外すにしてもバッテリーケースだけは別に取り付けて開放型の純正バッテリーを積んだ状態をお勧めしております。
まぁ、スカスカ具合ではバッテリーケースが邪魔に思う方もいるとは思うのですが、バッテリーレスはレギュレターへの負担が大きいので。小型バッテリーも、そもそも開放型バッテリーへの充電を前提にしたジェネレーターで充電電圧が全然違います。レギュレターもMF対応品じゃないので下手すると回路に過度の負担がかかるケースもあります。
意外と大丈夫だったりする車種もありますが。

で、カスタム自体はキャブのセッティングも含めて順調に終わり、純正バッテリー積んだ仕様で完了。
で、これならセルでエンジンもかけられると始動しようとしたら、どうにも始動性が悪い。
キックだと一発でかかる。
プラグ抜いてチェックすると、セル押した瞬間と離した瞬間だけ火花が飛ぶ。
この症例だとセルで電力食い過ぎてスパークに使う電力足りてないパターンなんですが、新品バッテリーでモーター稼働時の電圧降下もテスターでチェックして問題なし。

…はて?

プラグ新品でバッテリーも元気。
イグニッションコイル抵抗値→OK
プラグキャップ外してコード直接アースでも症状変わらず。
ピックアップ信号もOK

なんじゃらほい?

CDIからイグニッションコイルへの出力をチェックすると、セル離した瞬間に電圧が跳ね上がる。

むむ?CDIから一時電圧の時点ですでに弱い?

んー、CDIのコンデンサがパンクしてれば一発目のセルで放電しきって後が続かない…なんてこともある?
でもそれだとキックで始動しても点火続くのか?
点火カットに関わる部分を総ざらいするべきと判断。

サイドスタンドスイッチのチェック。
でもこれ断線してたら走るわけ無いんだよな…と思いながら元に戻し、またがった状態でスタンド上げてセル回したら火花が元気よく飛ぶ。

ん?

サイドスタンド立てて再度セル回すと、やっぱり最初だけしか飛ばない。セル離した瞬間は一瞬飛ぶ。
というか、そもそもスタンド立てて仮にギアも入ってたらヤマハはセルすら回らないはず。
古いホンダ車だとキルスイッチ効いてても点火カットだけでセルは回ったりするのもありますが。

試しにスタンドスイッチをループさせて殺してみると何の支障も無くセルでエンジンかかる。

ま、だいぶ絞られてきましたが、ここまでで半日費やしてしまった。とりあえずキルスイッチ機能、スイッチ回路系かな。
全く火花飛ばないならまだしも、セル離した瞬間だけ飛ぶのか…

と、細々と書いててもなんのこっちゃ?だとは思うんですが、結論から言うとスイッチ周りのカプラー配線組違いですな。
これは推測ですが、TWは一時期スカチューンが流行った時代に散々弄り倒されカスタムされ、ライト周りとかスイッチ周りも手が加えられては買取した店が再販する際にノーマルに戻されて…なんてことを繰り返されてる車体が相当多いです。
現にこの車両も過去にスカチューンされたのをノーマル戻しされてる形跡が濃く残ってました。
配線も継ぎ足しや修復痕だらけでしたし、スイッチボックスのカプラーのオスとメスの配線色が組み違えてたり…。
セルはシンプルなのでリレー作動する回路が成立すれば周ります。
ただ、キルスイッチやスタンドスイッチやクラッチスイッチなどの飛び出し防止用の機能と連動してないといけない。
そしてTWはヒューズボックスと言うものが無く、リレーを代用してる。
配線の組み方次第じゃセル回してるリレー作動してる時に点火せず…にもできてしまうし、元からスカチューンにミニバッテリーでセル始動しない仕様だったら前オーナーも気付かないで乗ってる事もあるのかな。

結局は丸一日潰れてしまった。悪いのは過去にカスタムしたショップ(もしくはオーナー)ですが。

ショップと言えば…今日作業したイントルーダーもなかなか…

知人から譲ってもらったけど「スピードメーターが動かない」という依頼でした。
この年式のイントルーダーはスピードメーターはケーブルではなくセンサーで拾ってる電磁式のタイプ。

とりあえずセンサー注文してたのが届いたので作業しようとフロントタイヤ外してセンサーを外したら…

上が新品、下がもともとついてたセンサ。

センサー部分の歯がバキバキに砕けとりました。
これ、タイヤ外してつける時に位置合わせしないで嵌めてアクスル締めたのでは?

いや、油断してるとやっちゃう事もあるんですが、ほとんどの場合は浮いてるとタイヤ上手くはまらないし、無理にアクスル締めると割れる音とか嫌な感触があるので、その場で気付く気はするんですな。
さすがにショップでそのまま納車することは無いと思うので、前のオーナーさんでしょうけど。
経年劣化で4枚の歯が全部折れるってのはちょっと考えにくいですし。
このセンサー高いんですよね。15000円くらいしました。

メーター動かないまま乗ってる人も稀にいますが、これも厳密には違法です。
「でもバレないでしょ?」と思いきや、昔聞いた話では手練れの白バイ隊員なんかだと、原付を追い抜き際にメーターのチェックする動体視力の持ち主がいるとかなんとか…

「ホントかよ」とは思いますが、それ抜きにしても、そもそもイントルーダー400だとメーター動かないと車検通りませんからね。

…いや、慣れてるバイク屋だと車検場のテスターの駆動音で大体の速度わかるんで検査通っちゃったりしますが、本来その状態で通しちゃダメです(笑)

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